いのち金には手をつけるなとは

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「いのち金には手をつけるな」――。投資に少しでも関心を持ったことがある人なら、一度は耳にしたことがあるこの言葉。しかし、その本当の意味を正確に理解し、自分の投資判断に落とし込めている人は少ないかもしれません。相場に向き合うすべての投資家にとって、資金管理は成功と失敗を分ける最も根本的なテーマです。この記事では、「いのち金」とは何か、なぜそれに手をつけてはいけないのか、そしてそれがどう投資判断に影響するのかを、初心者にもわかりやすく解説します。

「いのち金」とは何か？

「いのち金（いのちがね）」とは、生活に必要不可欠なお金のことを指します。家賃や光熱費、食費、医療費、教育費といった日々の暮らしを支えるために確保しておかなければならない資金、あるいは万が一に備えての貯蓄などが該当します。つまり、このお金を失ってしまえば生活そのものが成り立たなくなり、心身の健康を損なうおそれすらある、文字どおり“命に関わる”お金なのです。

この「いのち金」を投資に回すことは、たとえそれが株式や仮想通貨、FXのようなリターンが大きい商品であっても、極めてリスクが高く、禁じ手とされています。値動きの激しい相場の世界において、失っても生活が成り立つ余裕資金で勝負するのが鉄則であり、「いのち金には手をつけるな」という格言はその基本中の基本を警告しているのです。

生活防衛資金

よく投資の世界でも生活防衛資金という言葉があり、最低でも半年間家族みんなが安心して生活できる分のお金は確保しておくべきということが言われています。現物で取引しているのであれば生活防衛資金はわかりやすいですが、レバレッジをかけた FX トレードや、株式の信用取引などではレバレッジがかかっていて投資した額以上の損失が発生する可能性もあるので、追証も含めて生活防衛資金をしっかりと計算しておく必要があります。

なぜ「いのち金」に手をつけてはいけないのか？

いのち金に手を出した投資家の末路には、共通するパターンがあります。それは「冷静な判断力の喪失」です。生活がかかっている状況では、相場が少しでも下がると強い不安に襲われ、パニックに近い状態で誤った売買をしてしまいます。本来であれば待つべき局面でも我慢ができず、損切りを遅らせて被害を拡大させることもあります。

また、生活費を投資に充てると、相場が下がったときにすぐに資金繰りが破綻し、クレジットカードのリボ払いや消費者金融に頼るという悪循環に陥ることもあります。こうした状態になると、投資はもはや“資産運用”ではなく、“賭け”になってしまい、長期的な資産形成とは正反対の道を歩むことになります。

投資の本質は「勝ち続けて退場しないこと」にあります。一時的に儲けることよりも、退場せずに相場に残り続けることが成功への最短ルートであり、そのためには、いのち金には絶対に手をつけてはならないのです。

いのち金と投資に関する疑問

いのち金と余剰資金の違いは？

いのち金は生活に必要不可欠なお金、つまり「なくなったら困るお金」です。一方、余剰資金は万が一失っても生活に支障のない、自由に使ってよいお金です。投資に回すべきなのは常に余剰資金です。

どこまでがいのち金なのか、自分で判断しづらいです。

目安としては、生活費の半年分〜1年分、突然の病気や失業に備えた予備資金、家族に関わる支出（教育費など）は「いのち金」と考えるのが安全です。個人の家計状況に応じて、保守的に見積もることが大切です。レバレッジをかけた取引の場合にはただ単に投資金額を判断するのではなくレバレッジで受ける損失まで含めて考える必要があります。

投資でお金を増やしたい気持ちと矛盾しませんか？

確かに「お金が足りないから投資で増やしたい」という気持ちは自然なものですが、それをいのち金で行うと、むしろ状況を悪化させるリスクが高くなります。まずは節約や収入増で余剰資金を作るところから始めるのが賢明です。

まとめ

「いのち金には手をつけるな」という言葉は、投資家にとって最も基本でありながら最も重要な戒めです。どれほど魅力的な投資案件があっても、どれほどの利益が見込まれても、生活を脅かすお金を賭けるべきではありません。冷静な判断力を保ち、長期的な資産形成を実現するためには、まず“守るべきもの”を見極める力が必要です。いのち金は、自分と家族を守る最後の砦。資産運用の第一歩として、そのことを胸に刻むことが、成功への入り口となるのです。